上顎洞内の骨を造成する上顎洞挙上術

上顎臼歯部(上顎の奥歯)には上顎洞という空洞が存在するために、ほとんどの症例において骨量は少なくなっています。上顎の骨は下顎に比べて軟らかいので、歯が抜けると急速に骨吸収をおこし、骨量は減っていきます。インプラント埋入の時には、骨が足りなくなっているのです。
このような場合のインプラント埋入には工夫が必要であり、手術の難易度は高くなります。手術方法には、上顎洞底部に骨を造成する「上顎洞挙上術(サイナスリフト、ソケットリフト)」と、骨が少ない場所を避けインプラントを斜めに埋入する「傾斜インプラント」があります。

ここでは、「上顎洞挙上術(サイナスリフト、ソケットリフト)」について説明します。

  • サイナスリフト
  • ソケットリフト

上顎洞挙上術とは

上顎洞底部に骨を移植・造成する方法を「上顎洞挙上術」とよびます。
骨の残存量が非常に少なく、インプラントの同時埋入が不可能な場合は、上顎洞挙上術をまず行い、6~9ヶ月後にインプラントを埋入します。(段階法)
ある程度骨が残存し、インプラントを残存骨に固定できる場合は、上顎洞挙上術と同時にインプラントを埋入できます。(同時埋入法)
手術法は、サイナスリフト(側方アプローチ)とソケットリフト(歯槽頂上アプローチ)の二通りです。

  手術方法 適応症 利点 欠点
サイナスリフト 上顎洞側壁を開洞する
(横から)
洞底残存骨5mm以下
(残った骨が少ないとき)
骨造成が多くできる。目視で確認しながら手術できる。 手術の難易度が高い。
ソケットリフト
(オステオトームテクニック)
歯槽頂上から挙上する
(下から)
洞底残存骨5mm以上
(残った骨が多いとき)
低侵襲で手術できる。手術が容易。 骨造成量は少ない。手探りの手術のため、術野を確認できない。

サイナスリフト症例1 (インプラント同時埋入法)
患者は、右上の臼歯3本(右上654)を失っていた。

X線撮影をおこなうと、上顎洞底の残存骨は5mm以下であった。

ソケットリフトでは十分な骨造成が期待できないので、サイナスリフトによる上顎洞の骨造成を計画した。
全層弁で歯肉剥離、側方から上顎洞を開洞、シュナイダー膜を洞内の骨面から剥離した。。
患者の呼吸に伴い、シュナイダー膜は上下に運動する。
骨補填材を上顎洞内に填入した。
吸収性メンブレンで骨補填材がもれないように被覆し、タックピンでメンブレンを固定した。
通法通り、3本のインプラント(ノーベルリプレイス13mm)を埋入した。
術後のX線写真:上顎洞を15mm程度挙上、同時に3本のインプラントを埋入している。
術後の口腔内写真(頬側から):6ヶ月待時し、2次手術、3本の上部構造を取付けた。
 class= 術後の口腔内写真(咬合面から):6ヶ月待時し、2次手術、3本の上部構造を取付けた。

サイナスリフト症例2 (インプラント段階埋入法)

患者は、左上4本の永久歯(左上2345)が先天的に欠損していた。

左上乳犬歯(左上C)は、先天欠損の左上側切歯(左上2)の代行をしていた。

左上第一乳臼歯(D)は、大きな虫歯のため保存不能であり、抜歯した。

上顎洞底の残存骨は、わずか1mm程度であったので、インプラントを固定することはできないと判断した。

そこで、段階アプローチによるサイナスリフトを計画した。
段階アプローチのサイナスリフトとは、まず上顎洞の挙上のみを行い、半年程度の治癒期間を待ち、次にインプラント埋入手術を予定することである。


全層弁で歯肉を剥離し、上顎洞を開洞、シュナイダー膜を洞内の骨面より剥離した。

呼吸により、上顎洞粘膜は上下に運動する。

下顎枝から採取した粉砕自家骨と骨補填材を、上顎洞内に填入した。
吸収性のメンブレンで開洞部位を被覆した。
上顎洞挙上後のX線撮影:15ミリ程度上顎洞を挙上した。

挙上した上顎洞内に骨が形成されるまで、6ヶ月間待時した後、インプラントを2本埋入した(ナノ・プリベイル・テーパード4/3×15mm)。

 class=

術後の口腔内写真:

左上3本欠損の距離は2本欠損分に相当したので、インプラント2本で補綴した。

プリベイル・インプラントは、プラットフォーム・スイッチングするため、プラットフォーム付近の骨吸収が少ない。
ナノタイトは表面性状も良好で骨結合しやすく、サイナスリフトには、有用なインプラントと考える。
術後の口腔内写真、左上3本欠損の距離は2本欠損分に相当したので、インプラント2本で補綴した。

術後のX線写真:

左上の先天欠損歯に、サイナスリフトを併用したインプラント治療が行われた。

反対側も同様に永久歯が4本先天欠損しており、インプラント治療が将来必要になると思われる。
ソケットリフト症例1

術前の口腔内写真

術後の口腔内写真



術前のX線写真:

術後のX線写真:
上顎洞底残存骨は2mm程度。   歯槽頂上からのソケットリフトで、
13mm拳上した。
骨補填剤と下顎枝より
採取した自家骨を填入、
シュナイダー膜を挙上し、
リプレイステーパード
RP4.3×13mmを埋入した。
術後6年経過したが問題は
ない。

ソケットリフト症例2

術前の口腔内写真

術後の口腔内写真

術前のX線写真:

術後のX線写真:
上顎洞底残存骨は2mm程度。   歯槽頂上からのソケット
リフトで、10mm拳上した。
骨補填剤と下顎枝より
採取した自家骨を填入拳上し、
POI42-12 HN を埋入した。
術後7年以上経過したが、
ペリオテスト値=-1で
インテグレーションは良好。

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